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黒川温泉・旅館山河の渓流

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黒川温泉は名声を確立して久しい。そのはずれにある旅館「山河」。その「渓流」とは何か。(「日本秘湯を守る会」から厳選)

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第3章 黒川温泉・旅館山河の渓流
English information : RYOKAN SANGA
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2010.7.30-7.31

3.1 はじめに

 タイトルに適切な言葉が浮かばず「渓流」とした。「小川」「せせらぎ」「水庭」かと迷ったが「渓流」とした。旅館山河で最も印象的だったのは、敷地内の小さな流れであったからである。「渓流」というと幅が数メートル以上ある渓流もイメージできるが、ここで言う「渓流」とは実際は幅が数十センチメートル程度の流れである。この流れには苔むした岩が散積し、周囲を植物が覆っている。頭上は林である。この様が、源流に近い渓流を彷彿とさせる。この小さな渓流を横に見ながら、林に囲まれた小道を通って到着する露天風呂は最高である。家族用貸し切り風呂がすばらしい。道案内の灯籠がよい。

3.2 エントランスと灯籠

 黒川温泉の中心地には多くの名湯がひしめき合っている。旅館はどこも露天風呂を持ち、中心地は一種の観光地となっている。ここには、雑貨屋、甘みどころ、レストランなどが細い路地や坂道に軒を連ねている。一周をただ歩くだけなら30分もあれば足りる。温泉街の賑わいにも関わらず、各旅館は独自のカラーをだすべく工夫を重ねている。中心街の多くの旅館の紹介は他に譲り、ここから、車でほんの少し離れたところにある旅館山河について印象を語ってゆきたい。

・ 道路から下を見るとうっそうとした林の下に建物が見えた。仙仁温泉では入り口で橋を渡るが、ここでは森の中へと降りてゆく。

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・ 下ってゆく道の両脇には木製の小さな灯籠が灯っている。ここから別の空間になりますよ、と案内している。
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 エントランスの道の両脇に灯籠を配置する形式が古くから日本にあったかどうかわからないが、海外のリゾートでもエントランスや邸内に灯籠やガイド灯がよく使われている。頭上から照らすのではなく、足下を照らすものである。結果的に間接照明になる。宿の玄関に近づいた。

・ 玄関に到着した。
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・ 「日本秘湯を守る会」の提灯がかかっている。この提灯を見るたびに、また一つスタンプが増えることを喜ぶ。
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・館内は落ち着いていて、生け花がそこかしこに配置されている。
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3.3 囲炉裏(いろり)

 館内は離れも含めてゆったりと配置されている。露天風呂に向かって少し歩き始める。
・ 薪が沢山蓄えられている建物がある。
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・ 「いろり」のある建物があり、軒にはトウモロコシが干されている。
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・ 右の正面から入ると「いろり」があって薪が燃やされている。炎は出ていないが、これは置火のようにいつまでも燃えている。
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 中は座れるようになっているが、ここで誰かがお茶を飲むという訳ではなさそうだ。昔ながらの農村のような情景が再現されている。ここは温泉宿であるだけでなさそうである。

3.4 館内を流れる小さな渓流

 露天風呂に向かおうと歩いてゆくと小さな渓流が流れていた。離れの近くである。そちらからこちらへと清流が岩の間や緑の狭間を抜って流れている。岩は苔むしていて深山の趣である。

・ 橋の欄干の下を流れる小さな渓流
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・ 苔むした岩の間を清流が流れる
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・ 水量は多くなく、流れる音がさわさわとしている
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・所々に木製の灯籠がある
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 ちょっとした空間なのでが、山奥に迷い込んだような錯覚を覚える。これを一体何と言ってよいのだろうか。小さな小川、苔むした岩、その周囲を取り巻く植物、灯籠、そしてうっそうとした樹々たちが、訪問者に奥深い安らぎを与える。この道の奥に露天風呂がある。このアプローチがすばらしい。

3.5 露天風呂

 露天風呂に到着して驚いた。お湯が青い。実は、実物の青は写真よりも強くなく、少し濁っているようである。そして広い。

・ 混浴用の露天風呂(もやいの湯)、入り口から左を見る
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・ お湯がとても青く見える
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・ 露天風呂の右手には打たせ湯がある
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 旅館山河には、この他に女性用露天風呂「四季の湯」、内湯には「大岩風呂」「切り石風呂」「檜風呂」がある。全部、入湯したはずなのだが写真がない。あったのは渓流の写真ばかりであった。次の訪れる機会をいつか作ってこのブログに追加したい。

3.6 貸し切り露天風呂(六尺楠風呂)

・玄関から右手の散策路をこちら側に少し上ってゆく。灯りが安らぐ。
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 すると右手に小川に小さな橋がかかっている。この小川は少し落差があり水量もやや多く感じる。渓谷の源流近くというイメージである。かつて沢登りをしていた身としては、こんな風な源流に良く出くわしたものである。

・橋の上流側:源流に近い渓流を彷彿とさせる
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・橋の下流側:意図的にだろうか川幅が少し広くなっている
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橋を渡った先に、家屋露天風呂「六尺楠風呂」がある。

・直径六尺の楠製の露天風呂、水面に映った緑があまりに美しい。
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・至福の一時である。
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 外の樹木の緑を見ながら浸ることができる。お湯は長湯ができそうな、ややぬるめであった。渓流を見ながら橋を渡らせて、この木製の湯船に誘導され、ため息をつきながら至福の一時を過ごした。感謝。

3.7 おわりに

 露天風呂のあり方には二つある。内湯のすぐ外にある場合と、屋外を歩いて行く場合である。前者の場合は、あくまで内湯の延長に露天風呂がある。露天風呂にいくために気持ちは切り替わらず、また、内湯に戻るときにも、すぐさま現実に戻る。洗い場があるからである。

 屋外へ出て露天風呂へと歩いてゆく旅館山河は後者である。屋内から、一旦、外へ出て、深山の渓流を通過して露天風呂に到達する。この散策道で遭遇する小さな渓流がとにかく「すばらしい」の一言につきる。小さな小川がある旅館は多いが、ここは趣が深い。道案内の灯籠がまた風情がある。

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日本では当たり前である、豊富な水と渓流、これを生かした温泉旅館はとても多い。しかし、ここ旅館山河では、街から離れた空間のその中で、訪問者は屋内から深山の渓流へと導かれ、そこで露天風呂に浸ることができる。この旅館山河のコンセプトは、今後、日本を訪問する外国の方々にも新しいグローバルスタンダードを提供できるのではないだろうか。

温泉概略データ:200リットル/分、38-73度、pH=3.9-6.1、単純硫黄温泉、ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉、蒸発残留物=1472mg/l、内湯4、露天3

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.21 2011 温泉 comment0 trackback0