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番外編(37) 草枕温泉てんすい

弱アルカリ泉単純温泉の露天風呂、眼下に有明海、その対岸には雲仙普賢岳、まさしく絶景!
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番外編(37) 熊本県 草枕温泉てんすい
Kumamoto prefecture Kusamakura onsen Tensui
Japanese information: 草枕温泉てんすい
2019.2.1

 ひょんなことから、熊本市金峰山の有明海側にある「草枕温泉てんすい」に連れて行かれました。市の中心部から30分程度の至近距離の施設です。

 漱石の「草枕」は知っていますよね、「山路(みち)を登りながらこう考えた。智に働けば角(かど)が立つ。情に棹(さお)させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」で始まる。

 引き合いに出されることは、日本人の情緒パターンはここ1世紀ほども変わっていないこと。最後の「住みにくい」が面白い。よそ事のような他人行儀な表現で、どっか行ったら、とていくところはない。いや、温泉がありますよ!

 漱石は英国留学前に第五高等学校(現在の熊本大学の前身)の英語教師として1893年4月に熊本市に赴任した(上熊本駅から見下ろして「熊本は杜の都だな」と言ったとされている)。その時29歳、30歳の時に旅した小天温泉の旅が草枕の素材に使われている。

 なぜここが草枕温泉というと、冒頭の一文の「山路を登りながら考えた」は熊本市内から金峰山の右側を抜ける「峠の茶屋」への道だから。ここを通って有明海に降りていくと、平野に降る途中の丘の上にある。場所は玉名市天水町にあるので名前は「草枕温泉てんすい」に落ち着いた。

・ 施設の外観と名前
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・ 横に漱石と笠智衆の写真
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 漱石は紹介した通りだが、笠智衆は?実はここの生まれです。独特の明治男の存在感で多数の映画に出演しましたね。口数少なく熊本弁が抜けなかった笠智衆、そういえば、ワタクシの祖父も明治の男で口数の少ない方でした。笠智衆は監督の求めで笑えと言われて、それを拒否したとの逸話が残っている。

 なんかカッコイイですね、今時の男性がどうちゃらとは言いませんし、昔より、よっぽどしっかりしているし、オリンピックでもメダルをたくさん取れているから実力があることは事実。これに脱帽!

 けれど、やはり薄っぺらで傷つくのが怖くて仕方ない、という感じもあり?昔からそれも本質だから今に始まったことではない。今も昔も立派な男は少数でいて、しかしワタクシ含めて多くが軟弱世代ですナ。

 でも、さらに遡り武士の時代なら、元服は15歳、家督を継いでいっぱしの態度を取らねばならなかったし、死ぬ覚悟も教えられていたわけだから、言うこともやることもしっかりしていたに違いない。武士はいつでも死ぬ覚悟ができていたので威張れていた、という話を聞いたことがある。死ぬ覚悟のない現代人が威張ったら滑稽ですよね。

 話が大幅脱線、先ほどの写真、その上になんと金栗四三の名前、そう、玉名市は氏の生まれ故郷です。今年(2019年)放映中のNHK大河ドラマで活躍中。氏は幼い頃は虚弱体質だったそうですが、小学校へ走って通ったことで別人にアップデートされましたね。人生の総量は積分ですな。

・ 中へいるといきなり吹き抜けの土産物屋
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・ さて、露天風呂へ直行
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 目の前の山は有明海の対岸、島原半島の雲仙普賢岳です。写真では大きくはありませんが、迫力満点です。海の向こうの山といえば、駿河湾と富士山が日本の定番です。これには少々負けるとしても、あまりPRされていない新鮮な構図。

 施設は斜面の中腹にあるので、下に平野も見えます。この露天風呂、なかなかのものです。湯量が多いし適温で泉質は弱アルカリ性、身を任せて眼前の普賢岳!

 この絶景を楽しむためには、日帰りではなくお洒落な宿もお願い!と思っていたら、すでにありました。眼下のたもとにある小天(おあま)温泉・那古井館。ここが、漱石の草枕の舞台にもなっている。那古井館は明治元年創業、2018年4月に改装されて和モダンの宿に生まれ変わった。いつかは。

 くどいようですが漱石、「則天去私」が座右の銘、意味は「自我の執着を離れて自然の道理に従う」、後半は簡単だが、前半は難しいですね。自我さえなんだかわからないのに。


草枕温泉てんすい:370ℓ/分、単純温泉(低張性、弱アルカリ性)、39.3℃、pH=8.01、蒸発残留物=354mg/kg、総成分量409.3mg/kg、内風呂、露天風呂、サウナ、男女各1。

次回は熊本県・天草・弓ヶ浜温泉湯楽亭を紹介。
 (Continue to next report)


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草枕温泉てんすい
.30 2019 温泉 comment1 trackback0