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南阿蘇・地獄温泉・清風荘の湯治



南阿蘇の秘湯である。足下湧出の露天風呂、濁り湯の「雀の湯」の歴史はおそらく200年。湯治の湯である。炭火でいただく朝食も美味。

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第23章 阿蘇・地獄温泉・清風荘の湯治
You Tube Information : SEIFUSOU
2010.2.5-6

23.1 はじめに

 地獄温泉・清風荘は南阿蘇、夜峰山の山麓に湧く歴史のある名湯である。すぐ下には、垂玉温泉・山口旅館がある。熊本空港から車で1時間はかからない近さであるが、最後の登り道は山奥の細道になる。そこが秘湯らしい。清風荘には硫黄臭が立ちこめていて、服にも残ってしまう強さは群馬県・万座温泉に近い。古くからの湯治場として栄えていた名湯であり部屋数も多い。本館は明治中期に建てられたもので古き趣が残っている。時間が止まっている。清風荘のウリは「雀の湯」である。なぜ「雀」なのか、それは最後に「話」を紹介する。

23.2 玄関から

 なぜか、秘湯には「赤い郵便ポスト」が似合う、というか多い(例えば法師温泉)。これはかつて、郵便局のポストが日本全国津々浦々まで手紙を届けるためのインフラだったからである。手紙には時間おくれがあるが、それを直筆で書いていた時代である。相手の気持ちを考えながら書いていた。今なら、さしずめ、携帯電話である。これが今の情報伝達インフラである。携帯は即興ではかないものだが、現代人はこれに依存している。秘湯の郵便ポストは、それとは知らずに古き時代と記憶を呼び起こす。

・玄関
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・ 夜になると、提灯の灯りが暖かい。
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・ 廊下とふすまが郷愁をさそう。
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写真はないが、館内は古いままである。投宿した部屋は昔のままのこじんまりとした部屋だったが気持ちが落ち着いた。名物「雀の湯」は玄関の左下の階段を下りたところにある。ここには男女別の内湯がある。館内には元湯、露天風呂は男女各一つ、その他に新湯がある。
 宿はかつての湯治客用の本館と、その後増築された新館とがある。前者はトイレ・洗面所は共用だが、かなりのお得感がある。風呂と料理は同じだから、温泉フリークにはこれで充分である。

23.3 雀の湯

雀の湯は屋根つきの混浴露天風呂である。熱めの湯と温めの湯があるが、枡形に仕切られている。露天風呂に入る前の脱衣所にも内風呂が男女別にある。

・ 雀の湯の全景(温めの湯のほう)。
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・ 冬期は湯気が気持ちよく昇ってゆく。
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・ 足下からお湯がぷくぷくと湧き出し、ぴちぴちとはじける。次から次へ、その音がまさしく「雀」が鳴いているように聞こえる。これが「雀の湯」の所以だろう。静寂の中でこの音が風呂の周りに、そして耳の中にこだまする。他には何の音もしない。電車の中で聞く音楽とは違う、自然の音、地球のささやきである。だから心を鎮める。なぜ秘湯に行くか、その理由の一つである。
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・ 内風呂:畳のある古風な風呂。
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・ 別の露天風呂:お湯は白濁の濁り湯。
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23.4 夕食

 料理は鍋料理からフレンチまで選べる。種類は多く選択に迷う。フレンチというのが、秘湯にはなかなか珍しくがぜん興味が湧くが、そこは我慢して鍋料理にした。猪鍋であった。普通の肉は煮込むと固くなるが、猪肉は煮込む程やわらかくなる。脂身が固めで弾力に野性味がある。「俺たちゃなよなよの脂じゃないよ」と。料理は簡素なものだったが、結局、おなかは満腹した。
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・コーヒーとデザートが出た。これは部屋も持ってきて頂いた。自分の部屋でコーヒーをケーキ、果物を静かに頂く。贅沢な気持ちだ。
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23.5 朝食

 朝食は曲水庵で頂いた。本館とは別棟になっていて、内部は黒光りする巨大な梁が目を引く。中では、贅沢にも炭がおこしてあった。すでに定番の品も用意してあったが、このほかに中央にあるバイキングを楽しめる。湯豆腐まで暖めてあるが、「めざし」やソーセージ類は、炭で炙って頂ける。炙りたての「めざし」はかなり美味。朝食にしては相当な贅沢である。すると、さらに驚いたのは、中央の水路から食材が、丸い樽舟に乗って運ばれてきた。こちらも自由に選べる。曲がりくねった水路を舟に乗った食材が運ばれてくる、つまり「曲水庵」である。これは平安時代に貴族が楽しんだという「曲水の宴」を再現したものである。京都の「保津川」の名前がついた料亭では仲居さんが「保津川下りどす〜」と声で知らせ、舟に乗った食事が運ばれてきたことがあったが、同じ趣向である。
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23.6 おわりに

 下の写真を見ていただきたい。これは、昔の写真ではなく、撮った写真をデジタルでモノクロにしたものである。色がついていないそれだけで古びた写真になってしまうのが、悲しいような、それでいて郷愁も誘う。こんなイメージの湯治場に行きたい人と、おしゃれなホテルに行きたい人、両方に行きたい人がいるだろう。中でも、静かになれる場所に行きたい人にはオススメである。
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 さて、「雀の湯」について。仲居さんから聞いた話を紹介する。清風荘には、癒しを求めて静養にくる女性がいて、その場合は、大抵、連泊するそうである。仲居さんが「とにかく雀の湯に入りなさい、理由は入ればわかる」と教えるそうである。実は地元のご夫人の方々がよく雀の湯を訪れ、狭い湯船の中でおしゃべりに花を咲かせる。宿泊者とも自ずと会話が成立してゆく。そこで、ピーチクパーチクと足下湧出の湯船の中で、たわいのない話をするのが疲れた心に良い、というのが仲居さんの解釈であった。現代人だけでなく、昔の人だって、疲れていたはずである。自然の中、露天風呂で、たわいのない、くよくよしない会話が続く、これが結果的にメンタル治療にもなっているのかもしれない。携帯電話やメールだけでは本来のコミュニケーションは足りないだろう。今回も話が少し飛躍したが、清風荘は現代の湯治場でもある。


・なお、本文と写真は予告なしに改訂することがありますことご了承ください。
・文章と画像の著作権は著者にあります。許可なくコピー・転載できません。

温泉概略データ:200-500リットル/分、88度、pH=2.8、硫黄泉(硫化水素型)、成分=690-1360mg/l、内湯4、露天5
清風荘公式HP
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.09 2012 温泉 comment2 trackback0

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たゆさり
「静寂の中でこの音が風呂の周りに、そして耳の中にこだまする。他には何の音もしない。電車の中で聞く音楽とは違う、自然の音、地球のささやきである。だから心を鎮める。なぜ秘湯に行くか、その理由の一つである。」
納得です。

時々遊びに来させていただいていますが、最初は「次の旅の参考になりそう!」と思って見させていただいてたのですが、どれもこれも今は迷ってしまいそうです(笑)

また来させていただきますm(__)m
2012.03.12 02:57
izumi6688
> 「静寂の中でこの音が風呂の周りに、そして耳の中にこだまする。他には何の音もしない。電車の中で聞く音楽とは違う、自然の音、地球のささやきである。だから心を鎮める。なぜ秘湯に行くか、その理由の一つである。」
> 納得です。
>
> 時々遊びに来させていただいていますが、最初は「次の旅の参考になりそう!」と思って見させていただいてたのですが、どれもこれも今は迷ってしまいそうです(笑)
>
> また来させていただきますm(__)m
2012.03.12 22:06

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