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173 ホテル祖谷温泉

折り重なる急峻な山塊、こんなところに温泉が湧く。ケーブルカーで渓谷に下り、ぬるめの硫黄泉に浸る。文字通りの秘湯である。

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第173章 徳島県 ホテル祖谷温泉
Tokushima prefecture Hotel Iya onsen
Japanese information:ホテル祖谷温泉
English information: Hotel Iya onsen
2022.5.28-29

173.1 はじめに

 祖谷温泉はこれまでに予約してキャンセルせざるを得なかったのが2回、なので3回目の正直である。ホテル祖谷温泉は四国で、というより全国でも秘湯中の秘湯と言える。

 四国というのは海付近を除けば山岳地帯であって、中央構造線が走っている。上と下で岩質がちがい、せめぎ合うことで温泉も生まれる。

 宿へはくねくねと山道を辿りたどり着く孤高のロケーション。露天風呂はケーブルカーでゴトゴトと下りていく。この露天風呂がつとに有名だ。


173.2 宿

 四国に清流は多いが、徳島県では吉野川だろう。四万十川は緩やかな川、中津渓谷や安居渓谷はほとんど縦方向に削られた川で荒々しい。それに比べて吉野川は大人の風格だ。

 もちろん、大歩危、小歩危などゴツゴツの岩の間を縫う豊富な水流だ。その支流に祖谷川がある。剣山に向かってくねくねと登っていく。

 宿に向かうには壁に寄り添うような急峻な崖道を慎重に運転する。こんな道は多少慣れてはいるが神経を使う。

・ひの字渓谷、文字通り。
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・ 小便小僧。元々は岩だけで像はなかったそう。肝試しにここで用を足したことが起源という話を聞きました。小心者のワタクシにはムリムリ。
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・ 宿は急斜面に寄り添うように建つ。よくもこんなスペースがあったものだと感心。
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 断崖は角度がきつそうだが、実は42度。この角度が、日本の山塊では一番安定した角度なのか。粉体や岩を積み上げる時の安息角だ。

・ 斜面なのに4階立てで3階がロビー、上に4階、下に1、2階がある。
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 宿は「ホテル」なので、鄙びた佇まいの秘湯ではない。ホテルにしたのはこの絶壁には鉄筋コンクリートしか建築できないから。

・ ロビーは簡潔明瞭、スペースがない分工夫している。
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・ 食堂は断崖なのでの眺望抜群
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・ 部屋は小綺麗でシンプル
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173.3 ケーブルカーと温泉

 さて、お目当ての温泉に行きましょう。ケーブルカーでワクワクしながら、谷底に鎮座する、硫黄泉の露天風呂に到着する仕掛け。

・ まずケーブルカーの乗り場に、小鳥用の餌台があって、キチンと餌を食べにご訪問。
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・ ケーブルカーの中は、もちろんだが急斜面の階段構造。傾斜角度は斜面の42度。
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・ 距離で250m、落差にして170m下の谷底に吸い込まれていく。所要時間5分。
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・ 湯船は3つある。二つは男女入れ替え制、もう一つは貸切用。一番人気はこの露天風呂。
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湯量が多いこと、硫黄の香り、ほのかな濁り、40℃くらいの最適温度。ここから祖谷川の清流を見下ろす。その絶景に大きく呼吸する。「絹泡夢想の湯」と名付けられていて納得。

・ 二番人気はこちら、渓谷の幅が少し狭く感じるがその分、深山の雰囲気。
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・ 貸切は有料で、こじんまりした造り、お湯はなぜかまだ透明のまま。新鮮だからでしょう。(濁り湯の生まれたては透明)
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・ 母屋の2階にあるのが「雲遊天空の湯」。額縁には対岸の緑山。秋は紅葉。
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・ 山以外は全く何もない、という贅沢さ。
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 祖谷温泉の歴史を少し紹介します。江戸時代前には現在の小便岩の谷には皮膚病に効くお湯が沸いていたことが知られています。この地名を「風呂の谷」とも言っていたそうです。

 安政大地震でお湯が出なくなり、その後、大正13年に四国電力のトンネル工事中に同じ場所から温泉を確認したそうです。

 何回かのボーリング後、昭和40年に成功し、宿を建設し、ケーブルカーは昭和58年運開。なので、本来の温泉は古く、現在の宿はまだ新しい。

173.4 食事

・食堂も絶景
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・これ2人分ですが、お肉の量が間違い?と思うくらいほぼ2倍。全部は食べきれませんでした。
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・こちらは絶景朝食です。
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173.5 おわりに

 温泉の写真はお断りして撮らせていただきましたが、実際の様子は写真では到底感じることができません。感動モノでした。

 今回は少し脱線します。

 祖谷川の上流には平家落人の集落が点在している。ここに、日本研究者のアレックス・カー氏が惚れ込んで改造した古民家宿泊「ちいおり」がある。

 カー氏はかねてから日本の観光産業について様々な提言をされている。祖谷の場合、山の斜面に建つ古民家の素晴らしさを、なぜ日本人はわからないのか。

 谷から沸き立つ霧の美しさ、そこに暮らす人々の文化、そんな日本人にとってはありふれたモノがグローバルには特異であること。

 また、なぜ、観光地だけでなく街から看板と電信柱がなくならないのか。土建国家が公共事業により山肌や海岸線を破壊しまくっていることなど。

 「美しき日本の残像」に魅せられたアレックス・カー氏について調べられることをお勧めします。

 今回は「ちいおり」は行けなかった。そこで、アレックス・カー氏監修の長崎県五島列島小値賀島については年内に紹介します。


ホテル祖谷温泉:アルカリ性単純硫黄温泉(低張性アルカリ性温泉)、源泉38.3℃(
加温後41.3℃)。

次回は高知県立牧野植物園です。(Continue to next report)
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